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2005年 10月 09日
秋の花火
篠田 節子 / 文藝春秋 ISBN : 416323120X スコア選択: ※※※※ もっと楽しいことを考えたらどうなの。少しは感謝したらどうなの。どうしてそんなに人生の嫌な面だけをみようとするの。《灯油の尽きる時p143》 ----------------------------------------------------------------- 今度の恋は、 低く静かな旋律 人生の盛夏を過ぎた頃の恋情は、静かで儚い花火のよう 生きることの痛みと意味を繊細かつ大胆に描く佳品、全5篇 《単行本帯より》 ----------------------------------------------------------------- 問題は私が、私生活では関わりあいたくない人間だったってことなの。彼女だけでなく、他の人にとっても、きっとそう。考えてみれば、誰も私を誘わないし。(観覧車p50) セーラー服を着た少女を買ったと思ったら、相手は35歳のおばさんだったとわかる。セーラー服を着ている理由を、彼女は「普段はだれも誘ってくれないのにセーラー服だと男の人が声をかけてくる」と答える。 かわいいハンドルネームをつけて、可愛いアバターをまとったしゃしゃと同じではないのか? リアルのわたしを、誰も求めない。 リアルのわたしと、誰も話したがらない。 そして、この頃リアルの性格を反映しだしたしゃしゃと、誰も話そうとしない。 自分が、拒絶されている以前の状態、無視されていると気付いて、ひどく落ち込んでしまった。 「私にとっては、愛だった。ひょっとすると、最初で最後の恋だったのかもしれない。あの人がいれば、人生をやり直せそうな気がしたし、どんな辛いことにも耐えられそうな気がした。だけど、捨てられたの。とっても簡単なことなのね。男の人にとっては、そんなこと、なんでもないのよ」(灯油の尽きるときp167) 人との温度差を感じることがよくある。 恋愛に限ったことではなくて、わたしは相手のことをとても親しい相手だと思っていても、相手はそうは思っていないってことに気付いたり、一時はとても親しかったのだけれど同じ速度で相手に対する関心が薄れるわけではなかったり。 前に「人の優先順位は変わるよ」と言われたことがある。 それが、とても悲しいと思う。 でも、それが現実なのだと思い知らされる。 何度も何度も、思い知らされて、今とても落ち込んでいるところ。
by sya_sya
| 2005-10-09 22:37
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