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2005年 10月 13日
タナトス
村上 龍 / 集英社 ISBN : 4087476758 スコア選択: ※※※※ 人間は甘えたっていいんだよ。……甘えって言うのは外部との親和性なんだからさ、本当はそれがないとオレ達は生きていけないんだよ。《p77》 ----------------------------------------------------------------- 「狂おしいのに、 彼へのこの憎悪はナニ? 私、人生にサヨナラしたほうがいいの」 熱帯のキューバで、 レイコは性の極限へと導かれていく。 狂 気 か ら 破 壊 へ 《単行本帯より》 ----------------------------------------------------------------- 今まで、読書というと「お話」を好んでいた。主人公が冒険をしたり、謎にぶつかったり、何か成長したり、なにかをしたり。 物語の世界を旅してああ楽しかった。そういう楽しみ方をしていた。 このごろ、書かれた文字と対話している気がする。 本の中に書かれた言葉から、いろんなことを感じる。いろんなことを考える。それをここに書き散らしている。あまり進歩しないから似たようなことばかり言っている気がするけれども。 気になる言葉を見つけるとメモ用紙を挟む。そして後で見直してまた考える。このページのどの言葉にひっかかったんだろう?という事もあるし、何度見直してもその文字から動けなくなることもある。 この本ではたくさんの言葉にひっかかってしまい、なかなか先に進めなかった。 わたしは、レイコだ。 彼女のように美しくはないし、彼女ほど狂ってはいないけれども。 お前には価値なんかないよ……もちろんおれにだってない、価値がある人間なんか誰もいない、誰にだって代わりはいるし、人は他人に何もしてやれない、そういうことから出発してどこかへ行けるかというと実はどこにも行けない、いつか他人にとって価値のある人間になろうとしてもそういうことはさもしいし、無駄だ、誰からか本当に必要とされている人間なんかどこにもいない。(p178) 愕然とする。 自分に価値がないと思っていて、少しでも誰かにとって価値のある人間になりたいと思っているのに、こういう風に切って捨てられると、どうしていいかわからなくなる。 続けて語られる言葉 だからおれ達は自由なんだ(p179) という言葉に、心からうなずける日は来るのだろうか、レイコも、わたしも。
by sya_sya
| 2005-10-13 21:49
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